開発背景
車載モータは家電機器や事務機器などの室内で使用されるモータに比べ、酷寒地から炎天下にいたるまで幅広い環境条件を想定した試験に対応することが必要となります。高温から低温までワイドレンジでの使用に対応する焼結含油軸受が望まれていました。
特長
材質開発 ASO
車載用モータに多く採用されている従来の鉄銅系材質に対し、非鉄成分を低減することでコストダウンを、また亜鉛成分を添加することで耐食性の向上を図っています。SiO2、Al2O3といった硬質不純物の含有量が少ない鉄粉原料を使用しているため、シャフトへの攻撃性が抑制されます。ASOは、従来材と比較して組織中のポーラスが細かくすることで通気性が低く抑えているため、摺動面に潤滑油膜ができやすくなっており、軸受性能の向上を図りました。
含浸油開発 PSL-10
幅広い使用温度範囲で使用可能な含浸油として、粘度指数を向上させ、100℃以上の高温領域では蒸発特性を、
-20℃以下の低温領域の粘度上昇を抑えた特性となっています。
Fe | Cu | Sn | C | Zn | 他 |
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残 | 15~23 | 0.5~3 | 148 | 0.1~3 | 1以下 |
密度@15℃ | g/cm3 | 0.92 |
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動粘度@40℃ | mm2/s | 39.6 |
動粘度@100℃ | mm2/s | 11.7 |
BF粘度@-40℃ | mPa・s | 3.650 |
粘度指数 | 306 |